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#1 The Bustling Labyrinth

 

「なんでハノイを研究してるの?」

よく聞かれる質問に、なかなかうまく答えられない。最近では「惚れ込んだとしか言いようがない」と答えている。

これから書こうとしているエッセイ的なものは、論文には書けないけれど、無性に惹かれるものを一旦吐き出して、自分がなぜハノイにこんなにも惹かれているのかを探るための試みでもある。

 

幾重にもレイヤーが重なっていることが初心者にも直感でき、でもちょっと調べたくらいでは全然その深層に触れられない。ひとつひとつを切り分けても、さらに迷宮に迷い込んでいるような果てしなさ。博士論文を書いてみても、本当に自分が見ていることが的を得ているのか?これで合ってるのか?そもそも合ってるって、誰目線?‥‥

見れば見るほど次々と現れる問いを、誰かに聞いてみても人によって言うことが違って真実に辿り着けない。すべてのまちがそうであるように、「そのまちの本当」が属人的なものだと、思い切り実感させられた。でもだからこそ、自分が語れる(語っても良い)ハノイの姿があるんじゃないか?

 

初めてベトナム・ハノイ旧市街に立った時、そのダイナミックさに圧倒された。そしてこれまで6回を数える訪問の度、新鮮な驚きと変わらないわくわくを与えてくれるこの街を少しでも理解できるように。写真と、出来るだけ絵で表現していきます。